3 「柳下秀器展」

カトリーダーの親友、タマは陶芸家*柳下秀器。
タマはアムプリンの器を作る時も、たくさん相談にのってくれました。
新米の季節には、おいしいお米とお菓子とかを送ってくれます。
このたび、タマが横浜で、柳下秀器展をします。
私はタマの作品を見るのがすごい好きだけど、遠いので行けません。
行ける人はぜひぜひ行って見てください。



イメージ画



拡大↓
イメージ画





うちの食器は、ほとんどタマがくれた器。
なかでもアムの好きな器はコレ↓!


イメージ画




私が説明するよりもタマインタビューをどうそ↓
イメージ画

plainjapan.com のインタビュー


(その日本語訳↓)
今回紹介する人物は陶芸作家として活躍されているヤナシタヒデキだ。
東京から三重県伊賀市音羽に移り住んで8年。
実は彼は私の学生時代の友人である。

学生時代ちょっとした飲酒にまつわる逸話を残しつつも
男気あふれた人物であった彼は、卒業後インテリアデザイナーとして就職した。
皆それぞれの道で落ち着いた頃、彼がデザイナーをやめて陶芸作家を目指すらしいと、
風の噂に聞いた頃には、
既に東京を離れ、窯元に移り住んでいた。
最初に彼が何故いきなりデザイナーを止めたのか、今回聞いてみた。
彼の答えは

「人生ずっと続けられる事をしたかった。」

現在個展を開くまでになった彼の作る作品は、彼自身をそのまま表していると私は思う。
一言でいうならば、それは「実直」である。
つまり無駄な装飾が無い。デザインが一人歩きしていない。

ここで日本の陶芸について少々説明させてもらう。
日本の様々な土地で陶器作りは行われている。
その始まりは1年の半分を農業、冬に農業ができなくなると残りを陶器を製造していた時代とされている。
彼の住む地方もそのような生活を送っていた地方の1つであった。
そしてそらにさかのぼるとその根元にあったものは「弥生式土器」
その古来から日本に受け継がれていた陶器のルーツに
中国から石川県に入ったもう1本のルーツが混ざったものが
彼の住むエリアの陶器の始まりになった。
何故そこで陶器作りが盛んなのかというと、理由は簡単で
良質な土が出るからという事らしい。

現在彼は伊賀焼きと信楽焼きの2つの焼き物を作っている。
伊賀焼きは当時の藩主の趣味がお茶であった為、
茶器として作られていた。
余談だが、ヤナシタは実際茶道も楽しんでいる。
そして信楽焼きは、元来穀物を入れる器として始まったされている。
その後、茶器としても信楽焼きは使われるのだが、その逸話として
道に落ちていた信楽焼きを拾って、茶器として使用したのが始まりと言われている。
現在では信楽焼き、伊賀焼きなど明確な区別というものはなくってきている。

また陶器といっても非常に様々で、まったく伝統に捕らわれない物から
過去の様式を守るもの、
そして彼の作品は基本的な伝統はおさえつつもその伝統の延長線となる所に位置している。

「歴史に敬意を抱きつつも、常に時代とともに変わっていかなければならない。
同じものを作っていても辛くなるだけだから 」
「オブジェを作っている気は無い、実際に使われてこその陶器」

実際その陶器はどう作られているのか聞いてみた。
「まずは土のブレンドは決めていく。粒子の違う土をブレンドしていって
独自の配合にしていく。」
「だいたい壺ぐらいの大きさだと4日間で形を完成させる、そして乾燥、それから3日間かけて
釜入れという感じ」

釜入れに3日間もかけるというのは訳があって、陶器のひとつひとつの下に
下の台と付着し合わないように粘土を噛ましていくのだそうだ。
「そして2日間で釜の温度を上げて、3日間昼夜問わずに焼く、そのあと3日間かけてゆっくり冷ます」

なんと11日間も釜の行程にかかるというのだ。
けして陶器は安くはないが、この話を聞いて納得した。

温度、薪の灰の回り具合、灰の溜まり具合、圧力。
薪に近いものは灰をかぶるので、灰が釉薬となって焼き上がると艶が出る。
薪から離すと土器っぽい仕上がりとなる。
灰が溜まればそこが焦げとなって、模様ができあがる。
釜入れの時、すべてを考えながら配置していき、火を入れた後も
加減をみながら調節していくのだが、完全に完成を予想はできないという。
しかしその釜だしの瞬間が一番楽しいと言う。
「想像通りもあるが、逆に想像以上もある。そして当然失敗もある。」
「けして作為的にはつくれない部分があるのが陶芸の魅力だ」

デザインというすべてを作為的に進める仕事をしていた彼が
どうして陶芸に惹かれたのかちょっとわかったような気がした。
そして彼の作品の魅力はその彼の想いを充分に表現している。

これからの目標は?
「今、「焼き」のレベルをもう1段階上に上げようと思っている。
まず必要なのは経験。
土と灰が付着したとき、化学変化して金属のような表面仕上げ(ラスター)になるのだが
それに必要なのは圧力。そこの部分をもっと突き詰めたい。
その為に徹底的な温度管理と時間管理。
ラスターをそこまで突き詰めて作る人は居ない。」

そして陶芸で一番大切な事は?
「結局は良い土が全て。
でもそれでさえも焼いてみないと本当に良い土なのかはわからない」

彼の作る器に食事を盛ると、食べ物自体が非常に浮き立つ。
そして酒もしかり。
食べるというプリミテイブな欲求と土器を思わせる彼のプリミテイブな味わいの器。
古くからの友人と彼の作品がこれからも非常に楽しみだ。